アチェトゥーラの”マッジョ”
「アチェトゥーラ(※1)のマッジョ」は、バジリカータで催される「樹木の婚姻」の象徴的祭事であり、樹木の幹と先端部、つまり「新郎(マッジョ)」と「新婦(チーマ)」が接ぎ木されて空に掲げられるという、先祖代々受け継がれた伝統儀式です。
その祭事は、ペンテコステ(※2)の日曜日に始まり、未来の夫婦となる木々が、町の広場に向かって旅を始めます。ですが、祭事全体としては毎年「主の復活の8日間(※3)」からコルパス・ドミニの日曜日(※4)まで繰り返され、村の守護聖人サン・ジュリアーノに捧げられます。
「結婚」する 2 つの樹木の選別は、それぞれ復活祭後の第1日曜日と第2日曜日に行われます。「花婿」の木”マッジョ”は、モンテ・ピアノの森林から大ぶりな樫の木が選ばれ、キリストの昇天祭の日に伐採されます。 また、「花嫁」である”チーマ”は、ガリポリのコニャートの森林に生息するヒイラギであるのが通例です。 伝統的な多くの婚儀がそうであるように、未来の「夫婦」は、サン・ヴィート広場で結ばれる前に、それぞれ「マッジャーイオーリ」、「チマイオーリ」という行進隊を組み、広場へ向けて別々に歩みを進めます。
二隊の行進は、音楽や歌、伝統舞踊などの歓迎を受けながらゆっくりと村の中心に向かって進み、その間、ワインや郷土料理の食事が振る舞われます。「花婿(マッジョ)」と「花嫁(チーマ)」が運ばれる間は、叫び声や歓声が上がり、腕力を示すパフォーマンスが繰り広げられ、劇的な光景となります。
そして、「新郎新婦」がサン・ヴィート広場の円形競技場に到着すると、結婚の儀式はフィナーレを迎えます。「チーマ」は「マッジョ」に接ぎ木され、一緒に育てられることになります。 その間傍らでは、守護聖人サン・ジュリアーノの行列が行進し、 「アチェトゥーラのマッジョ」の儀式はしめくくられます。
※1…マテーラ県にある人口約1,800人の村
※2…。聖霊降臨(せいれいこうりん)と呼ばれる新約聖書にあるエピソード(イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に、神からの聖霊が降ったという出来事)を記念するキリスト教の祝祭日のひとつ。
※3…復活祭の日曜日に始まり、復活祭の第 2 日曜日までの8日間のこと。
※4…聖体の祝日と呼ばれる西方カトリックの祝日。